今日は主に関西方面にお住いの方々に朗報をば!
屋久島在住の画家・高田裕子さんの個展が、
9月10日(木)~15日(火)に大阪・心斎橋にて開催されます。
高田裕子さんの存在は、コケ好きの方(とくに岡山コケの会会員)ならご存じの方も多いはず。
トップ画像の絵もそうですが、まるでおとぎの世界に迷い込んでしまったかのような幻想的な風景画。
岩や倒木を覆う緑はもちろんコケで、この幻想的な雰囲気に一役買っている。
しかしながら、高田さんの絵はこのコケたちがが決して脇役にとどまらない。
近づいて見れば、つんつんと伸びた若い緑色や黄色の胞子体、
さらによく見てみると、コケの形も群落ごとに違い、
何種類ものコケがきちんと描き分けられていることに気付く。
コケの種名がある程度わかっている人ならば、「お、これはきっと○○ゴケだな」と、
屋久島に息づくコケたちの姿に思い馳せられるに違いない。
この美しくも細かなコケの描写が、いままで私の周りの何人のコケ好きたちの心を躍らせてきたことか(もちろん私も含みます)。
高田さんの絵は引いて見ると屋久島の「静寂」を切り取っておられるようで、
いつも胸の中がすーっと静かに澄みわたっていく。
なのに近づいて見たとたんに、絵の中でコケはじつに独特の存在感でもって躍動し、
水という命の源を森の中の誰よりも先に受けている彼らこそが、
この屋久島の森を生み出しているのだと気づかされ、今度は急に胸の中がじわじわと熱くなってくる。
一枚のカンバスの中に潜むそんな静と動のコントラスト、
さらにまた新たなインスピレーションを感じに、
今回も高田さんの作品の数々を間近で見てこようと思います。
なお、ありがたいことに高田さんは会期中、
いつでもギャラリーにいらっしゃるとのことです。
【高田裕子個展】
●会期:2015年9月10日(木)~15日(火)AM10:30~PM6:30(最終日PM3:00まで)
●場所:ギャラリー永井 詳しいアクセスはこちら→ ☆
さらに、ここで終わりかと思いきや、
今回はもう一つ嬉しいニュースが!
9月10日に高田さんの絵をまとめたご著書が発行されるとのこと。
▲「水の森」絵・文/高田裕子 発行/アノニマ・スタジオ 発売/KTC中央出版
現在、発行元のアノニマ・スタジオのホームページではカメラマン・大沢成二さんが撮った
高田さんが画を描いていかれる過程を収めた映像作品が公開されています。
こんなふうに筆を重ねて森ができあがっていくのだという驚きはもちろん、
映像で見ると、コケたちがより立体的に、質感まで伝わってきそうなくらいリアルに迫ってきて見惚れてしまう。
とくに、今回はちょっと個展に行けそうにない…という方、
ぜひこちらで作品を見てみてください。オススメです。