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苔涼やかに。

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▲シノブゴケの仲間(2009年8月・和歌山県)


今日から7月。しばらくぶりでございます。
お元気でいらっしゃいましたでしょうか?

実は私の方は5月、6月はちょっとプライベートでハプニングがあったり、
体調を崩してしまったりで、このブログの更新もままならない日々を送っていました。
鬼の霍乱か・・・いやはや、珍しいこともあるものです。

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さてさて、ベッドに横になっている間、時間だけはあったので、
去年購入して読みかけになっていた「胞子文学名作選」の続きをようやく読むことができた。

ちなみに今日の「苔涼やかに。」というタイトルは、同書に収められている「苔やわらかに。」(著者:伊藤香織氏)からもじったもの。
写真も「涼やか」という言葉がぴったりの水辺にたたずむシノブゴケを選んでみた。


同書には本当にさまざまな隠花植物をテーマにした作品が掲載されていたのだが、
「苔やわらかに。」は、主人公の年代が自分とほぼ同じで「婚活」「超就職氷河期」など
自分のこれまでの人生に非常に身近なキーワードが物語の背景にあったせいか、とりわけ印象に残った。

他にも印象に強く残ったといえば、尾崎一雄氏著の「苔」もよかったなぁ。
主人公がコケを丁寧に観察する姿の後ろに、著者もまたつぶさにコケを見ていたであろうことがうかがえて、
なんだか無性に嬉しくなったりした。

また、一作ごとに巻末に書かれている編者・田中美穂さん(蟲文庫店主)の解説を読むのも楽しみで、
ただ作品を読むよりも、田中さんの言葉の力で、より奥深い想像の世界に引き込まれていったように思う。

装丁も宝石箱のようにすごく凝ったつくりであるし、
ブックデザインも一作ごとにあらゆるからくりがしかけられていて、
とにもかくにも読み応えのある、大変満足感のある一冊でした。


なお、また写真の話に戻るが、この写真を撮ったのはいまからもう5年前の2009年のこと。

「浮島の森」(和歌山県新宮市)という、太古の植物が積み重なってできた泥炭の上に森ができ、
それが沼に浮いているという不思議な島を訪れた時に出会ったコケ風景である。

どうしてこんな古い写真をいまごろ引っ張り出してきたかといえば、
実は去年の秋に大盛況を博した「苔・こけ・コケ展」(オカモス関西と京都府立植物園の共催)が
今年も11月21〜23日に開催されることになり、その出展作品として自分の写真も少し飾らせていただけることとなったからだ。
ここ数日は、5年前からの写真を総ざらいとまではいかないが、とりわけコケが美しかったロケーションを思い出し、
その時撮った写真が収められているフォルダを開いては、一枚ずつチェックしてこれぞと思うものをピックアップする作業に追われていた。

京都コケ展については、また詳しいことはこれからオカモス関西から最新情報が入ってき次第、
こちらでもお伝えできればと思うが、コケ好きの皆さま、この秋もぜひ京都へ足をお運びください。


<私信>
ブログからすっかり離れている間に、ブログ専用のメールアドレスに届くメッセージのボックスもほとんど開かずにいたところ、
何通かメッセージをいただいていた。長い間、返信できなかったこと、この場でもお詫び申し上げます。

その中のおひとり、私の本を読んでコケが好きになったというメッセージをくださった中学3年生のYさん、
そのようなメッセージをくださり、本当にありがとうございました。すごく嬉しくて、これからもがんばろうという勇気がわいてきました。
コケ好きがまわりにいらっしゃらないとのこと、残念ですよね。でもいるところにはいます!
博物館の観察会などチャンスがあったらぜひ行ってみてほしいです(年上のお友達が多いと思いますが…)。
ルーペをのぞいてミクロの森の探検家になるひと時、楽しいですよ!

直接返信したかったのですが、ご本人のメールアドレスが書かれていなかったので、こちらにて失礼します。
すっかり返信が遅くなってしまいましたが、ご本人が読んでくださることを願って。 藤井久子より


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