
▲ダンダンゴケ。(2012年3月の鎌倉にて)
コケの触り心地ってなかなかよいものだ。
もちろんそれはコケの種類にもよるし、
ある程度潤っていることに
大きく左右されるわけではあるのだけれど。
でも、コケ好きがひいき目に見たとしても、
彼らは手で触るとうっとりするような
風合いや素材感を生まれ持って持ちあわせている。
しかも、コケの種類によって
その感触はさまざまあり、
実にバリエーション豊富。
触ることはコケと触れ合ううえで
大きな楽しみの一つだと思う。
コケ友Mさん・Yさん・Nさんと私は、
いつも一緒にコケ散歩をしていると見つけたコケを触る。
そう、どんな触り心地かをチェックするためだ。
とくにMさんはその触り心地にこそ
コケの魅力があると考えているふしがあり、
やたらめったら触っている。
こないだの鎌倉コケ観察会でご一緒した時にも、
「本当にMさんはよくコケを触りますよね」
と言うと、
「やっぱり触り心地って大事ですよ〜」
ともちろんコケを触りながらニコニコしていた。
そして、ここ数年行った先々でコケを一緒に触った結果、
いまのところ私たちの票を多く集めているのがホンモンジゴケだ。

▲こちらがホンモンジゴケ(センボンゴケ科)。
フワフワモコモコとしたスナゴケや
猫のしっぽをなでているようなヒノキゴケ、
はたまた愛犬の背中をさすっているかのようなエビゴケの
触り心地にも私はめっぽう弱いのだが、
ホンモンジゴケの触り心地の良さといったら、
それらとはまたベツモノ。



▲左からスナゴケ、ヒノキゴケ、エビゴケ。彼らもすばらしい触り心地の持ち主。
ホンモンジゴケのしっとりとキメの細やかな
ベルベッドのような表面の質感。
ちょっと力を入れて押さえてみると意外にも深さがあり、
ベッドのマットレスを押しているかのような
ふかふか感が手のひらに伝わってくる。
う〜む、気持ちいい・・・(ウットリ)。
しかし、こないだの鎌倉コケ観察会では、
ホンモンジゴケに勝るとも劣らない、
ふかふかマット系のコケ2種と出会った。
「おぉ、いい触り心地!」
「これはホンモンジゴケにならぶんじゃない?」
結果、参加したMさん、Yさん、私の3人は
ホンモンジゴケを含めたそれらを
?3大触り心地の良いコケ?と(勝手に)認定。

▲一つ目はこちら、ハリゴケ(シノブゴケ科)。

▲さらに近づいて見ると…。明るい黄緑色で岩上に生育。薄暗い林の中では、わりと目立っていた。

▲お次はダンダンゴケ(センボンゴケ科)。切通しの壁面、石灰質の岩上に密な群落を作っていた。
触り心地のよいコケは世界中にあまたあれど、
とりわけ繊細でしっとりと上質なマットの感触を思い起こさせる彼らは、
?ふかふかマット系一門の三羽ガラス?といったところか。

▲1羽目、ホンモンジゴケ。

▲2羽目、ハリゴケ。

▲そして3羽目、ダンダンゴケ。
3種とも1個体は小型で背も低く、
密な群落をつくるという点で共通。
おそらく大群落にでもなっていない限り、
わりと気づかれにくい類のコケたちだ。
しかしルーペでのぞくと形はそれぞれに違い、
それを知るのもまたおもしろい。
普段は小さくて目立たない
コケの群落にこそ意外な発見あり。
あぁ、また触りたいなぁ。

▲ハリゴケの触り心地を確かめているMさん