もうあっという間に1月も末に入ってしまった。
は、はやいっ!(ってなんか毎月言っているような気がするけども…)。
1月はやはり1年の始まりの月だからか初旬は何をするにつけ
「今年こそはしっかりやっていこう」と妙な気合が入る。
しかし中旬からは、いちいちその心構えを確認するのも
なんだか手間に思えてきて次第にテンションも下降、
年始に立てたはずの目標のいくつかもすでにうやむやに…。
そしてようやくフワフワしていた気持ちも
どこかに着地したのだなと感じ始めたら、もう月も終わり。
いつもどこか手探りの1月。
それでもいつもよりはなんとなく清々しく
気持ちも華やぐのでそれはそれで好き。
でも次の2月は足元を
しっかりかためていこう。
---------------------------------------
さてさて、リクエストをいただきつつも
すっかり連載が途絶えていた「奥入瀬コケ紀行」、
その4まで進んでいました。
※その4の記事はこちらに。
※その3はこちら。
※その2はこちら。
※その1はこちら。
年をまたいでしまいましたが、これからしばらくは真面目に連載したいと思います(キリッ!)
時は2012年11月8日(この時点で奥入瀬コケ紀行が始まってまだ二日目w)。
11月10日の講習会に向けて、私たちは奥入瀬渓流の森を下見中である。
ノースビレッジの河井さんのガイドを受けながら、
森をブラブラ歩きで進んでいく(これを「ランブリング」という)。
ランブリングの醍醐味は「自分の五感で森と対話できる」ということにつきるかもしれない。
ウォーキングだと歩くのが主なので、森を横断できたとか、
目的の距離を歩ききったという達成感は得られる。
しかし、そのぶん気持ちはなんとなく常にせわしく、
ガイドさんの解説も聞き流しがちというか、歩くのに集中しているので、
あまり記憶に残らない(というのはあくまで私の経験上だけど)。
またその場の空気や景色は楽しめるが、
目の前の植物との直接の触れ合いは少ない。
ところがランブリングだと解説を聞いてから、
実際にその対象に触ってみたり、匂いをかいでみたり、
耳をそばだててみたりしながら、自分でその感触を確かめることができる。
そのことのほうにむしろ集中する。
とくに奥入瀬渓流の森は大好きな隠花植物が豊富なので、
そういう時間が私にとっては本当に楽しい。
じゅんわりとぬれて大地を潤すコケ、太古の時代を彷彿とさせる迫力のシダ、
「あなたはエイリアン?!」と思わず声をかけたくなる不思議な形の地衣類たち。
▲落ち葉を跳ね返す勢いで、元気に枝葉を伸ばすシダ集団。
そういうものたちを見ていると、自分の遺伝子に備わっている
遠い昔に森に住んでいた頃の祖先の記憶が呼び覚まされるのか、
旅の疲れはどこへやら、知らないうちに自分自身もどんどん元気になってきて、
目もランラン、聴覚・嗅覚もビンビン、あっちにもこっちにも気になるものが見つかり始める。
▲シダの向こうになにやら緑のアヤシイ物体が・・・あれはなんだ!? 緑の海坊主!?
▲海坊主かと思ったら、朽木にコケが生し、その上にキノコが生えている模様。
▲その正体は球形のキノコである「タヌキノチャブクロ」。枯れ木などに生える。
ちなみに似た形で「キツネノチャブクロ」というのもいるが、そちらは樹上には生えないのだとか。
▲指で押すと、ばふー。ホコリのような胞子が飛ぶ。
みんな胞子を遠くに飛ばしたくて、胞子の出る穴がちょっとだけ上を向いていて、方向もいろいろ。
そんな小さなことに気づけるのも、ゆっくりブラブラ歩きのランブリングならではなのかも。
そうそう、隠花植物といえばキノコもそのお仲間だ。
キノコは正確には「菌類」だから植物ではないのだけれど、
歴史をたどると19世紀頃まではキノコも植物の一種と思われていたのだそう。
その時代にはキノコも当然のように隠花植物のくくりだったのだ。
いまも花も種子をつけず胞子で増えるという意味では、
便宜上、隠花植物と呼んでもいいのかなと思っている。
季節柄、森はキノコもちょうど豊富な時期。
まさに河井さんのいったとおり奥入瀬の森は
コケ・シダ・地衣・キノコのスター選手がそろいぶみで
「隠花帝国」の様相を呈していたのだった。
▲地衣類。左はおそらくツメゴケの一種かな?!右は不明。それにしてもなんでこんな形をしているんだろう。
▲ホウオウゴケの仲間。あまりのコケ生し具合で写真だけではわかりづらいが、コケは岩の上に生えている。
晩秋、落ち葉に埋もれないようにと、地面よりあらかじめちょっと高い所を選んで生えるコケの処世術が見事に生きている例だ。
ちなみに、このコケは噛むと悪甘い味がするのだとか。
●おまけ:カツラの落ち葉
樹木の名前がなかなか覚えられない自分だが、
このカツラだけは一発で記憶!
というのもこの木の落ち葉はすごく甘い香りがするのだ。
砂糖が鍋の中でグツグツと温められた時のような、
そう、まさにカラメルによく似た甘い香り。
ちなみに今回ご一緒した屋久島の小原さんは「カステラ臭」という評価。
なるほど。
たしかに森の中で甘いものが欲しくなった時に
この香りをかいでカステラのことを思い出しておけば、
しばらくはお腹がもちそうだ(や、もっとお腹がすくか!?)。
ちなみに落ちたばかりの黄色いのよりも、
地面で茶色くなったもののほうが香りが強い。
森の湿度で落ち葉がぬれて、よけいに辺りは、
えも言われぬ甘い香りが漂っていた。
は、はやいっ!(ってなんか毎月言っているような気がするけども…)。
1月はやはり1年の始まりの月だからか初旬は何をするにつけ
「今年こそはしっかりやっていこう」と妙な気合が入る。
しかし中旬からは、いちいちその心構えを確認するのも
なんだか手間に思えてきて次第にテンションも下降、
年始に立てたはずの目標のいくつかもすでにうやむやに…。
そしてようやくフワフワしていた気持ちも
どこかに着地したのだなと感じ始めたら、もう月も終わり。
いつもどこか手探りの1月。
それでもいつもよりはなんとなく清々しく
気持ちも華やぐのでそれはそれで好き。
でも次の2月は足元を
しっかりかためていこう。
---------------------------------------
さてさて、リクエストをいただきつつも
すっかり連載が途絶えていた「奥入瀬コケ紀行」、
その4まで進んでいました。
※その4の記事はこちらに。
※その3はこちら。
※その2はこちら。
※その1はこちら。
年をまたいでしまいましたが、これからしばらくは真面目に連載したいと思います(キリッ!)
時は2012年11月8日(この時点で奥入瀬コケ紀行が始まってまだ二日目w)。
11月10日の講習会に向けて、私たちは奥入瀬渓流の森を下見中である。
ノースビレッジの河井さんのガイドを受けながら、
森をブラブラ歩きで進んでいく(これを「ランブリング」という)。
ランブリングの醍醐味は「自分の五感で森と対話できる」ということにつきるかもしれない。
ウォーキングだと歩くのが主なので、森を横断できたとか、
目的の距離を歩ききったという達成感は得られる。
しかし、そのぶん気持ちはなんとなく常にせわしく、
ガイドさんの解説も聞き流しがちというか、歩くのに集中しているので、
あまり記憶に残らない(というのはあくまで私の経験上だけど)。
またその場の空気や景色は楽しめるが、
目の前の植物との直接の触れ合いは少ない。
ところがランブリングだと解説を聞いてから、
実際にその対象に触ってみたり、匂いをかいでみたり、
耳をそばだててみたりしながら、自分でその感触を確かめることができる。
そのことのほうにむしろ集中する。
とくに奥入瀬渓流の森は大好きな隠花植物が豊富なので、
そういう時間が私にとっては本当に楽しい。
じゅんわりとぬれて大地を潤すコケ、太古の時代を彷彿とさせる迫力のシダ、
「あなたはエイリアン?!」と思わず声をかけたくなる不思議な形の地衣類たち。
▲落ち葉を跳ね返す勢いで、元気に枝葉を伸ばすシダ集団。
そういうものたちを見ていると、自分の遺伝子に備わっている
遠い昔に森に住んでいた頃の祖先の記憶が呼び覚まされるのか、
旅の疲れはどこへやら、知らないうちに自分自身もどんどん元気になってきて、
目もランラン、聴覚・嗅覚もビンビン、あっちにもこっちにも気になるものが見つかり始める。
▲シダの向こうになにやら緑のアヤシイ物体が・・・あれはなんだ!? 緑の海坊主!?
▲海坊主かと思ったら、朽木にコケが生し、その上にキノコが生えている模様。
▲その正体は球形のキノコである「タヌキノチャブクロ」。枯れ木などに生える。
ちなみに似た形で「キツネノチャブクロ」というのもいるが、そちらは樹上には生えないのだとか。
▲指で押すと、ばふー。ホコリのような胞子が飛ぶ。
みんな胞子を遠くに飛ばしたくて、胞子の出る穴がちょっとだけ上を向いていて、方向もいろいろ。
そんな小さなことに気づけるのも、ゆっくりブラブラ歩きのランブリングならではなのかも。
そうそう、隠花植物といえばキノコもそのお仲間だ。
キノコは正確には「菌類」だから植物ではないのだけれど、
歴史をたどると19世紀頃まではキノコも植物の一種と思われていたのだそう。
その時代にはキノコも当然のように隠花植物のくくりだったのだ。
いまも花も種子をつけず胞子で増えるという意味では、
便宜上、隠花植物と呼んでもいいのかなと思っている。
季節柄、森はキノコもちょうど豊富な時期。
まさに河井さんのいったとおり奥入瀬の森は
コケ・シダ・地衣・キノコのスター選手がそろいぶみで
「隠花帝国」の様相を呈していたのだった。
▲地衣類。左はおそらくツメゴケの一種かな?!右は不明。それにしてもなんでこんな形をしているんだろう。
▲ホウオウゴケの仲間。あまりのコケ生し具合で写真だけではわかりづらいが、コケは岩の上に生えている。
晩秋、落ち葉に埋もれないようにと、地面よりあらかじめちょっと高い所を選んで生えるコケの処世術が見事に生きている例だ。
ちなみに、このコケは噛むと悪甘い味がするのだとか。
●おまけ:カツラの落ち葉
樹木の名前がなかなか覚えられない自分だが、
このカツラだけは一発で記憶!
というのもこの木の落ち葉はすごく甘い香りがするのだ。
砂糖が鍋の中でグツグツと温められた時のような、
そう、まさにカラメルによく似た甘い香り。
ちなみに今回ご一緒した屋久島の小原さんは「カステラ臭」という評価。
なるほど。
たしかに森の中で甘いものが欲しくなった時に
この香りをかいでカステラのことを思い出しておけば、
しばらくはお腹がもちそうだ(や、もっとお腹がすくか!?)。
ちなみに落ちたばかりの黄色いのよりも、
地面で茶色くなったもののほうが香りが強い。
森の湿度で落ち葉がぬれて、よけいに辺りは、
えも言われぬ甘い香りが漂っていた。