▲倒木をコケが覆う。(山梨県・大弛峠 7月)
ここ数年、コケを見るのが楽しくて、
山に入っても山頂を目指さず、
麓やら中腹やらをウロウロしていたのだが、
こないだの週末、久々に山頂めがけて登ってきました、
山梨県にある標高2,599mの金峰山(きんぷさん・きんぽうさん)。
夜中に都内を出て深夜に山梨県と長野県の
境に位置する大弛峠(おおだるみ)の駐車場に到着。
この峠は、自動車が通行できる日本最高所の峠である。ここで標高は2,360m。
そして、ここから尾根道を4〜5キロだけ歩けば金峰山の山頂にたどり着く。
山歩き再デビューにはもってこいのお手軽登山ルートなのである。
車の中で寝て、朝6時に起床。
買っておいたパンを食べて、
6時半頃から歩き始める。
都会の朝と打って変わって、山の朝は空気が澄んでいてなんとも涼しい。
夜明けの山道を歩き出すだけでもう満ち足りた気分になる。
▲亜高山帯の森の中。最初はゆるやかな坂道を登る。自分はいつものごとくコケを見たいので列の一番後ろ
峠の森の中は、予想していた以上にコケがたくさん。
地面にも木にも岩にも、それぞれの場所をお気に入りの住処としたコケたちが、
そこここに独特の形の群落をつくっていた。
▲亜高山帯といえば、このコケ。オオフサゴケ。八ヶ岳界隈でもよく出会ったなぁ
▲オオフサゴケのアップ。植物体は立ち上がる。なんとなくクリスマスツリーに見えてくるのは私だけだろうか・・・
▲こちらも亜高山帯ではおなじみのコセイタカスギゴケ。胞子体が出てます
▲雌株の影には、少し背が低めの雄株が。もう婚活を終えたあとかな?!
▲山道の横手には倒れた木の根っこが壁を作っていて、そこをまたコケたちが住処として活用している
▲近寄ってみると・・・こちらはおそらくフウリンゴケ。古い胞子体と若い胞子体が混在している。胞子体の柄はくねくね。
垂直面の土の上が好きで、生育場所はまったく違うが、実はコセイタカスギゴケの親戚筋。同じスギゴケ科の仲間だ
▲こちらはイワダレゴケ(ちょっと乾燥気味)。倒木や岩が好きなコケなのだが、ここではコセイタカスギゴケに乗っかちゃってます。
よく見ると「孫の手」みたいにひょろりと立ち上がった新しい茎が見える。前年度の茎葉の上に毎年1度新しい茎葉を作るのがこのコケの最大の特徴
▲チシマシッポゴケ(おそらく)。この子たちもかなり広い範囲で林床を覆っていた。シッポゴケのなかでもとくに大型で、葉は同じ方向に曲がる
▲こちらも同じくシッポゴケの仲間。カモジゴケの一種かな。倒木の枝に突如現れた「天然の針山」といったかんじ
▲同じくシッポゴケの仲間。樹幹を覆うあたたかなブランケットのよう。濃緑色なところをみるとタカネカモジゴケだろうか。
こんな調子で歩けば歩くほどコケ・コケ・コケのコケ三昧。
こうも苦労しないで、あなたたちと会えるなんていいのかしら?!
と嬉しさがこみ上げてきて、歩きながらも思わずニヤニヤしてしまう。
みんなの列に遅れぬようコケを見ては(ニヤニヤし)早足で追いかけ、
またコケを見ては(ニヤニヤし)早足で追いかけを繰り返し・・・。
急に視界が開けたと思ったら、
向こうには黒々とした富士山が見えた。
▲夏の富士山は山頂の雪もほぼ溶けて、わりと地味。いまごろ大勢の人が登っているのだろうなぁ。
顔を上げたついでに辺りをよく見れば、ツガの美しさもなかなか。
▲新芽は明るい黄緑色。古いのと新しいの、こんなにもはっきり色が分かれているものなのね