▲アップで写しているが、このコケ、か・な・り小さいです。(2013年11月東京・御岳)
?見えない(といっても過言でないほどミクロな)ものが見える?Kさんを講師に迎え行われた今回の観察会。
当日、Kさんのコケ目がキャッチした究極にミクロなコケはこれだった。
▲「ここに、あれがいるよ」とKさんが指差した場所
え? どこ? 先生、わかりません!!
▲近寄ってみる。なんとなくうっすら緑っぽいエリアがある(気がする)
▲あぁ、やっぱりそこなんですね!
▲いたー! ルーペでようやくコケ本体を確認! 胞子体が出てます。その柄の長さはわずか2〜3mmほど!
彼らの正体は「キュウシュウホウオウゴケ」。
Kさんによると「わりと普通に生えてる種類だよ」とのこと(ひえ〜、そうなの!?)。
ちなみにキュウシュウホウオウゴケの仲間で「ユウレイホウオウゴケ」という、
もう名前からして、見つけられない感満載、事実キュウシュウ〜とならぶほどミクロなコケがいるのだが、
Kさんいわく、キュウシュウ〜に比べそちらのほうが生育していること自体が珍しいので、さらに出会う確率は低いらしい。
※しかし! 実はユウレイホウオウゴケも数年前の岡山コケの会の観察会でやはりKさんにより見出されていた! 当時の衝撃を以前のブログにも記している。
おそるべし、Kさんのコケ目!!!
また、界隈にはほかにもいろんなコケがいた。
▲小さな群落だったがオオカサゴケもちらほら。
▲左がヒロハツヤゴケ、右がエダツヤゴケ。
からだのツヤ感や胞子体など見た目がよく似ているため
今までなかなか見分けがつきにくかった両者のツヤゴケなのだが、
このように1個体をつまみとってみると、一目瞭然。
「茎から出ている枝の数の多さがエダツヤゴケのほうがダントツに多いから、そこで見分けがつきますよ」
とKさん。なるほど〜!(思わずこぶしをポンッ!)
●おまけ
土上の上に生育するキュウシュウホウオウゴケを見た後、
今度は道端の小石をやおら手に取られたKさん。
「これもそうだよ」とおっしゃるので、見てみると、
またもキュウシュウホウオウゴケだった!(すごい!)
▲図鑑の右にある小石にキュウシュウホウオウゴケが生育。石は長辺で4〜5センチくらい。いわゆる小石である。
▲小石を手持ちのカメラで最大限アップにして撮ったもの。やはり胞子体が出ている! なお、本体(配偶体)にはほぼ茎がなく、わずかに葉があるばかり。
笑い話なのが、この上記の写真に写っている図鑑「しだ・こけ」(山と渓谷社)の
キュウシュウホウオウゴケのページを読むと、こう書いてあったことだ。
「キュウシュウホウオウゴケは蘚類の中でもっとも小さな種のひとつで、
肉眼では見つけにくい。林下の湿った場所の石を手にとって、明るい空に向けて見ると、
運が良ければ石の側面に生えるこのこけを認めることができるが、かなりの経験が必要である」
今まさに、Kさんの「究極コケ目のミラクル」を目の当たりにした私たち。
ここに書かれているのはまさにKさん以外の何者でもないと皆一様に深くうなずいたのであった。