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奥入瀬コケ紀行 その3: 「苔ルーム」に潜入!

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9月に入り、机にかじりつきながらコケのことばかりしている今日この頃です。
最近、夢にまでコケのことが出てくるシマツで、「あ、夢にまでコケが出てきた!」と寝ている自分が驚いて、深夜に飛び起きてしまうことも。
まさに寝ても覚めてもコケ状態。好きなことでここまで頭がいっぱいになるって正直、大変。
だけど生きている間に自分の好きなことが見つかり、それに没頭できる環境もあるというのはやっぱりありがたい。
恵まれた日々を噛みしめる毎日です。

さて、そんなわけで同じく「コケのこと」ながら、なかなかブログが更新できなかったのだが、
今日はやっとこ奥入瀬コケ紀行の最終話である。

今回、旅行の直前までその予定ではなかったのだが、まさかのチャンスに恵まれて、
奥入瀬渓流沿いにたたずむ高級リゾートホテル「奥入瀬渓流ホテル」のとある特別なお部屋に泊まることができた。


それはどんなお部屋かというと・・・





こちら!





▲じゃーん! グリーンで埋め尽くされたお部屋!


こちら、同ホテルが企画したこの夏限定の「苔ルーム」である。 →詳細は星野リゾート 奥入瀬渓流ホテルのHP

この部屋のことは、周りのコケ好きさんたちの間でニュースリリースが発表された当初から話題になっており、
その存在は知っていたのだが、まさか自分が泊まれることになるなんて・・・。

もちろん、親しいコケ友さんたちからはうらやましがられ、
「泊まったからには、その部屋の細部にいたるまで見てきたことをあますことなく報告せよ!」
との任も仰せつかりましたゆえ、ここにそのすべてをご報告させていただきます、ハイ。(笑)


まずは、玄関。





「グリーン系のスリッパ」というのは想定の範囲内だったので驚かなかったのだが、注目すべきはスリッパの先にあった。



▲なんじゃこりゃ!



▲そう、コケの胞子体です


スリッパはただのグリーンのスリッパと見せかけて、じつはコケの群落だったのだ。やられた!



▲履いてみるとこうなります


そして玄関横にある靴入れの上には本物のコケがお出迎え。



▲右にあるスプレーはシュースプレーなどではない。もちろん苔玉を潤すための水が入ったスプレーである


次にバスルームは・・・



▲写真が暗くてちょっとわかりにくいですが、タオルはもちろん石鹸もグリーン、歯磨き粉のパッケージもグリーン(これはたまたま?!)だった


そしてお手洗いは・・・



▲便座の蓋が大地に見立てられ、コケが一面を覆っています(注:もちろんフェイクです!)。



▲よく見るとトイレットペーパーもグリーン


ちなみに後日、この部屋の写真をSNSにアップしたところ、
オカモス関西の重鎮Mさんから「スリッパの胞子体はオオツボゴケでは?」との主旨のコメント。

オオツボゴケとは動物のフンの上に生える、コケの中でも珍しい種類で、いわゆる「糞ゴケ」と呼ばれる類。
たしかにこのスリッパの胞子体は、まだ胞子を飛ばす前の若いオオツボゴケの胞子体に見える。

  ※残念ながら手持ちの写真がないので、詳しく知りたい人は「オオツボゴケ」もしくは同種とよく似た「マルダイゴケ」で検索してみてください。


思わずSNSのコメントを見て、さすがMさん!と唸ったと同時に、
それならばこのスリッパは玄関よりもぜひトイレに!と思った次第である。







さて、玄関周りで長くなりましたが、いよいよ部屋の中に入ります。





















大型家具からちょっとした小物に至るまで、どこもかしこもグリーン系。
よくぞここまで集めたなぁと、部屋を一望し思わず感嘆の声が漏れる。

なお、この部屋を企画した同ホテルのNさんによると、

「初めての試みなのでまだ手探りなところも多いんですが、まず初年はとにかくコケに包まれているような緑の空間を作りたかったのです」

とのこと。

この部屋を作るに際し、アイデアを地元のデザイン系の学生たちに募り、スリッパの胞子体やトイレカバー、ベッドの壁面にかけられたコケ画など、
これは絶対に既製品ではないなと思わせるオリジナリティーの高いグッズは彼らによる制作なのだそうだ。

さらに、ベッドの向かい側にあるテレビ台周りもステキでした。












▲はい、喜んでシュッシュさせていただきます!


ちなみに、ちょっと気になったのがこの空間。
このモコモコのコケ風マット、手触りもよくて、
見ているだけではどうにももったいないのだが・・・
はて、どんな使い道があるだろう?






▲ベッド横のソファからジャゴケ風クッション(クッションカバーの質感が似ている)を持ってきて、上の棚から読みたい本をチョイスして・・・



▲こんなふうに利用してはどうでしょう


さらに苔ルームを出ても、このホテルのコケ尽くしは終わらない。



▲フロントで受付係の方々が使っているパソコン



▲コケが全面を覆わず、まだ土部分が見えているところが逆にリアル



▲お土産物コーナー。「苔涼し」は数年前に訪れた時にもあったコケスイーツ。もはや定番なのだろう



▲ちなみにこちらが中身。奥入瀬渓流のコケむす岩をイメージしたクルミ入りの砂糖菓子だ



▲さらにその横には、新たなコケスイーツが増えていた!



▲和菓子もあれば、洋菓子もあり!




▲丁寧な断り書きが・・・





▲さらにさらに、お土産物コーナーの目立つところにはビクセンとコラボレーションして作られたコケ観察グッズまで




▲もちろん苔ルームにも置いてあり、自由に試用できるようになっていた

 
   ※なお、このコケ観察グッズは「おいけん」で通販もしている模様。詳細についてはこちらへ → 


読んでいる方もだいぶお腹いっぱいになってきたかと思われるが、まだまだ終わりません。
こういった有形のもの以外にも、先述のNさんをはじめコケに詳しい同ホテルのガイドさんの案内で趣向を凝らしたコケツアーも用意されており、
宿泊者のやる気次第で、さらにディープなコケ世界に足を踏み入れることも可能なのである。



ちょっとこの画像では見づらいが、早朝5時からの「渓流モーニングカフェ」も前日からすでに予約で満席。
奥入瀬の自然を体感したいという宿泊者たちのモチベーションの高さがうかがえる。





また、さらにホテルでは毎日「森の学校」と銘打った地元ガイドによる座学の講座も開催されている(無料)。
基本的に夜開催なので、昼間に別のガイドツアーの予定を入れている人でもこの講座を聞くことができる。
星空講座などは屋外で実際に夜空を観察をしながら行われたりもするのだそう。





普段、旅行するといってもこのような高級リゾートホテルに泊まり慣れていない私は、正直言って宿泊費が高い!と思っていたが、
宿泊者がこのホテルでどのように過ごしたいか、よりよい選択ができるように設けられた幅広いサービスのための価格設定なのだとちょっと納得した。


ホテルをチェックアウトしたあと時間があったので、フロントロビーから1階下に降りてみた。
そこは間仕切りもなく広々とした空間で、地元にちなんだアートを紹介するスペースが設けられていた。
さらにそこからホテルの敷地内の林へと出ることもできるし、屋内の椅子に座ってガラス越しに緑を楽しむこともできる。



▲最近新しく設けられた展示物。看板を読むと、当の展示物は屋外にあるとのこと



▲コケむす板?!いえいえ、これはかつて奥入瀬渓流に置かれていた「苔テーブル」でした



▲2012年秋に訪れた際に撮影した、在りし日の苔テーブル


青森滞在最後の夜は、地元ガイドのKさん親子にねぶた祭りに連れて行ってもらった。

人生初体験、聞きしに勝る「ねぶた」の大迫力。
老若男女がそろいのハッピを着て、跳人(はねと)たちが練り歩き、
沿道からは見物客たちの威勢のよい「ラッセラー」の掛け声があちこちで響く。

5日間続くこの祭りが終わることは青森県民の夏が終わるのと同意であるという。
祭りの終わりをさかいに、気候も不思議と秋めいてくるのだそうだ。



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