▲オオカサゴケ。大型でコケの中でも非常に美しいコケの一つといわれている。8月・奈良にて。
コケ研究者の間では「コケはまずい」とよく言われる。
私も『コケはともだち』を書く際に、
去年、ジャゴケ、ホソバオキナゴケなど
何種類かのコケに「ごめんなさい」をして、
実際に味を確かめてみりした。
いろんな味があったけど、
総じて言えば、やはりまずかった。
でもそんなコケの中でも
「とりわけまずい!」
とウワサされているのが、
「美しいコケ」としても名高い
このオオカサゴケ。
「ほんまかしら?」
「ほんまですかね?」
やっぱり自分で体験してみないとわからない!ということで、
奈良の山中でムシメガネのMさんとオオカサゴケを口にしてみたところ・・・
「うぇえええ・・・まずい」
えぇ、やっぱりまずかったです。
どういうふうにまずいかというと、
これが面白いことに「まずい」が
段階を踏んでやってくる感じ。
(その場ですぐさま書いたメモが残っている)
・噛んだ瞬間、意外にも優しい甘み
↓
・次に強烈な青臭さ
↓
・さらに強い苦み
↓
・あれ、優しい甘みが戻ってきたゾ?
↓
・うぇええ・・・やっぱ苦いワ!
まずいまずいとは聞いていたけれど、
こんなに複雑な味わいがあったことは、
予想外の発見だった。
▲ユキノシタの小ぶりな葉よりも大きいオオカサゴケ。名前の通り、広げた傘のような形をしている。