▲晩秋の苔の里(石川県小松市日用町 2013.12月初旬)
前回の記事で予告したとおり、今回は石川県小松市で始まっている「叡智の杜プロジェクト」について。
まず、このブログを読んでくださっている皆さんは、
かつて石川県小松市日用町(ひようまち)に
「苔の園」(こけのその)という苔庭があったことをご存じだろうか。
その苔庭はスギの木立の中に一面に広がるコケ空間で、
中心部には遥か昔の尊い方のお墓を思わせるような
全面コケに覆われた見事な丘陵が鎮座している。
寺社仏閣によく見られるような全体の景観とのバランスを
細かく計算し構築されたような苔庭とは一線を画し、
この地の自然環境の中で育つべくして育ったコケが、
自らの力のままに生い茂ったという印象の苔庭だ。
散策路を歩くと、まるで自分が緑の海原の中を歩いているような幻想的な気持ちになる。
それと同時にこれだけ量も種類も豊富なコケが粛々と培われてきたという事実に
気の遠くなるような時間の重みを感じ、自然と厳かな気持ちにもなってしまう。
「苔の園」は、以前この地で日本蘚苔類学会の大会が開かれたこともあり、
コケ研究者やベテランのコケ好きさんの間ではかなり知られた苔庭の一つであった。
しかし同地の造園・管理に携わられた大石鉄郎氏の死去と、
隣接する道路の拡幅工事に伴い、2009年に惜しまれながら閉園してしまった。
ちなみに2009年といえば私個人はコケへの情熱がちょうど本格的にふつふつとし始めた頃で、
「全国のコケの名所を一つずつ回りたい!」と思っていた矢先に知ったこの閉園のニュースに、
ひどくがっかりしたことを今でもはっきりと覚えている。
となると、なぜ苔の園に行ったことがないはずの私が
さも見てきたかのようにこの苔庭のことを語れるのか。
それは苔の園閉園後も地元住民の有志によって苔庭のケアが日々行われ、
この5年間、開園当時そのままに庭のコケたちが守り続けられてきたからだ。
それだけこの苔庭が地元の人たちにとっても価値のあるものだったということだろう。
そして今年春に行った自由大学の苔学の講師のご縁で、
今回の叡智の杜プロジェクトの中核を担う「一般社団法人 叡智の杜」から
「見学に来てみませんか?」とラッキーなことにお声がかかり、
「苔の里」と名前を新たにした苔庭を拝見する機会に恵まれたというわけだ。
さて、すっかり前置きが長くなってしまったがここからが今日の本題だ。
そんなわけで苔の里にすっかり魅せられた私は、一ファンとして、
この新しいプロジェクトのことをぜひ紹介しておきたい。
<叡智の杜プロジェクトとは>
地元の有志らによって守られてきた苔庭「苔の里」と
隣接する古民家や、周辺のスギ林なども含めた里山一帯を保全・修繕し、
このエリアの美しい自然と文化の価値を高めて国内外の人々や叡智が集う
「叡智の杜」として新たに蘇らせようというプロジェクト。
企画・実行は、国と小松市、さらに日用町の住民有志らを中心とした「一般社団法人 叡智の杜」による。
なんでもこのプロジェクトによって古民家はラウンジやカフェ、ギャラリースペース、
研修施設などの多目的施設(しかもオシャレな!)にリフォームし、
さらに苔庭にはコケの資料館を新設するかも(予定)とのことである。
このビックプロジェクトにはやはり莫大な資金がかかる。
そこで現在、一般社団法人 叡智の杜では、クラウドファンディングという手法を使って、
県内外の一般市民もこのプロジェクトを応援できる取組み(まずは古民家修繕のための応援)を行っているという。
さて、ここまででさらっとプロジェクトの説明をしてみたものの、
この「クラウドファンディング」とはいったいなんぞや?
最近ちょこちょこと言葉だけは聞き巷で流行っているぽいが、普通の寄付と何が違うのだろうか。
応援する気はあるものの、このブログの更新とアマゾンでのお買い物がやっと、
その他の通販サイトのクレジット決済などにはいまだビビっているネット弱者であり、
なおかつ納得しないと動きたくないという面倒くさい性分でもあるワタクシは、
この海のものとも山のものとも知れないクラウドファンディングというものがどうにも敷居が高く感じているのである。
プロジェクトのクラウドファンディング専用サイトというものをちょいちょいのぞき見はするものの、
なかなか「プロジェクトを応援する」という青いボタンが押せずに数か月が過ぎ、今日まできてしまったというシマツ。
しかし! なんでもこのプロジェクトを応援するには期限が決まっていて、
うかうかしているうちにもう〆切まで残り1か月を切っているというではないか!
これはあかん!本末転倒!ということで覚悟を決めて(←大げさw)
先ほどとうとう「プロジェクトを応援する」を押してきました!
さて、その手順とは・・・と続きを書こうと思ったが、ここまでですっかり長文になったので、
詳しい手順については次に書くことにしたい(私のようなアナログ派が情報を待っていると信じて)。
ネット弱者じゃない方は、どうぞワタクシたちのことは気にせず、
「プロジェクトを応援する」を押してみてくださいマセ。
そして少しでも興味がある方は、まずは専用サイトの動画の美しい苔庭風景をご堪能くださいマセ。
☆叡智の杜プロジェクト クラウドファンディング専用サイト
☆叡智の杜の活動が逐一わかるFacebookページ
先にズバリ言いますが、手続きは思った以上に簡単だったことをここにご報告しておきます!